Samsonite BLACK LABEL | DEUX MONCX

TALKING ABOUT LEATHER レザーを愛しみ育てる

「革は生きている」。〈サムソナイト・ブラックレーベル - デュモンクス〉の革の染色を行う職人は、口を揃えてこう語ります。天の恵みである革は、一枚とて同じものはありません。そして状態や状況によって、マニュアル通りに加工することもできません。こうした化学素材とは違った、一筋縄ではいかない面はまさに生き物のようですが、生きていると思わせる面は他にもあります。それは手間や時間を惜しまずに向き合えば、美しさで応えてくれることです。職人の研ぎ澄まされた感覚で革の特性を見抜き、熟練の技を通して惜しみなく愛情を注ぎ込む。それは“造る”というよりむしろ“育てる”という表現の方がふさわしい。そんなレザーはオーナーに託された後も、愛着をもって使うことで美しく進化し続けるのです。

味わい深い表情の「サヴィル」に用いられる革の染色に用いられているのが、先代より使用されるローラー式の機械。ローラーの表面に微細なムラ模様の凹凸があり、革を通すと手作業で調合した染料により染色される仕組みです。とてもアナログな機械であり、革の厚みに応じて変えるローラーの高さ調整なども手作業です。

レザーの染色を専門に扱うファクトリーならではの高度な技術を有した職人は、染料を手作業で調合しています。これはロットにより異なるレザーのコンディションや気温、湿度などの気候の変化により、染まり具合が違ってくるためです。職人の目と肌感覚だけを頼りに、その都度ベストな調合を探り出す、まさに匠の技です。

右はローラー加工機によるムラ加工を複数回重ねた革、左は一度だけムラ加工を施した革。異なる色を重ねていくことで、深みと奥行きのある表情となっていきます。何度も手作業で革をローラーに通すという手間のかかる加工を行っています。さらに、その下地に染料を重ねていくことにより表情に圧倒的な差が生まれます。

「ブルック」シリーズに用いているオリジナルレザーには、手作業で下地にムラ色を施す「手汚し」という技法が用いられます。職人特製のバレンはフラットながら、まるで筆で書いたような濃淡のムラがあり、このムラが出せるまでには長年の経験が必要です。手汚し加工後に数回塗料を塗り重ねた革には、味わい深い表情が宿ります。

出番を待つ、塗料を手吹きするためのハンドスプレー。下地とは異なり、表地の塗装は均等に塗布する必要があり、仕上げの手吹きには熟練した技が必要です。このような高度にして希少な職人技が現在まで受け継がれているのも、レザーの染色専門のファクトリーならではの誇りです。道具に対するこだわりと愛情は、この使い込んだ道具にも垣間見ることができます。

バッグの肌触りや体なじみを向上させるべく、レザーを柔らかくするために行うのがドラム加工。革を傷つけない木製の巨大なドラムに革を入れ、約8時間回転。すると内部で革がこなれ、柔らかい仕上がりに。大きな革を何枚も出し入れしなければならず、大変な重労働ですが、使い心地のいい鞄を作るためには不可欠な工程です。

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